九州大学病院 心臓血管外科

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当科手術の特色

虚血性心疾患・その他

冠動脈バイパス術


図1

心臓を栄養する動脈である冠動脈が狭くなったり、詰まったりすると狭心症症状がでたり心臓の機能が低下することがあります(虚血性心臓病)。冠動脈の血流をよくする外科的治療として、冠動脈バイパス術があります。これは体内の別の血管を、狭くなった先の冠動脈に吻合することで迂回路をつくり、血流をよくするというもので(図1)、良好な長期成績が期待できます。

冠動脈バイパス術には大きく分けて、人工心肺を使用し心臓を止めて血管を吻合する心停止下冠動脈バイパス術(On-pump arrest CABG)と人工心肺を使用せず、心臓が動いたまま行う心拍動下冠動脈バイパス術(Off-pump CABG)があります。On-pump arrest CABGでは、心臓を止めて血管を吻合するため、より質の高い吻合が期待できます。一方で、Off-pump CABGでは人工心肺の使用に伴う合併症やリスクを回避できるというメリットがあります。Off-pump CABGは特に脳血管や呼吸機能、腎臓に障害のある患者さんなどハイリスクの患者さんに対して有利とされる報告もあります。日本では、現在約60%にOff-pump CABGが行われていますが、欧米ではOn-pump arrest CABGが主流です。

図2

当院ではOn-pump arrest CABGを基本としていますが、ハイリスクの患者さんにはOff-pump CABGも適応しており、個々の患者さんの状態に合わせた術式を選択しています。

使用する血管としては、胸骨の裏を通る左右の内胸動脈、胃大網動脈、脚の静脈である大伏在静脈などがあります。最も重要な冠動脈である左前下降枝には、長期開存性に優れた内胸動脈を使用します。大伏在静脈を太ももから採取する場合は、内視鏡を使用して採取することで、創をより小さくすることが可能で、当院でも積極的に行っています(図2)。

2014年の胸部外科学会からの報告によると、日本全体の冠動脈バイパス手術の手術死亡率は、初回の待機手術で0.8%、緊急手術で6.0%ですが、当院での手術死亡率は待機手術で0%、緊急手術で2.4%(2012年1月から2016年12月の5年間)と、良好な成績をおさめています。

より侵襲の小さな治療:小切開冠動脈バイパス術(MIDCAB)

図3

最近当院では、大動脈弁狭窄症に対する治療として、高齢・ハイリスクの患者さんに対し、人工心肺を使用しないで弁置換術を行う経カテーテル的大動脈弁置換術(Transcatheter aortic valve implantation: TAVI)を行っています。心臓の心尖部に直接カテーテルを穿刺して行う心尖部アプローチでTAVIを行う場合、左前胸部に小さな切開を加えて心臓を露出します(図3)。このとき、大動脈弁狭窄症に加えて冠動脈にも病変がある場合、切開した左前胸部から、左内胸動脈を採取し、冠動脈(左前下行枝)に吻合することも可能です。これにより、大動脈弁狭窄症と、虚血性心臓病の治療を同時かつより低侵襲に行うことができます。