九州大学病院 心臓血管外科

当科手術の特色

先天性心疾患

成人先天性心疾患(ACHD)手術

"成人先天性心疾患"は耳慣れない言葉ですが、先天性心疾患をもったお子さんが成人に達した患者さんを示します。日本では、年間約9000人の先天性心疾患の患者さんが成人に達するとされており、現在では50万人を超える患者さんがいらっしゃるとされています。
成人先天性心疾患の患者さんの数はすでに小児の先天性心疾患患者数を超えています。これら成人先天性心疾患の患者さんの3分の1は中等度以上の重症度を有しており、さまざまな続発症に対する治療が必要となります。
当科ではいち早く成人先天性心疾患専門外来を設け、症例数と手術成績でトップレベルの実績を有しています(図10)。

  • 図10. 2016年~2021年までの成人先天性心疾患手術数を表す棒グラフ

    図10. 成人先天性心疾患手術

主な手術としては

・ファロー四徴症術後肺動脈弁置換術(PVR)
・フォンタン転換手術(TCPC conversion)
・修正大血管転位症(ccTGA)
・部分型/中間型房室中隔欠損症手術(p-AVSD/i-AVSD)など
ですが、近年では大動脈基部置換術や多弁置換など複雑な手術が必要となる患者さんが増加しています。成人先天性心疾患に対する心臓外科治療では、さまざまな成人の診療科(循環器内科、糖尿病内科、腎臓内科、肝臓内科など)の協力が必要不可欠です。加えて先天性心疾患に対する十分な知識と、成人心臓手術のノウハウも要求されます。これらの理由により小児専門の施設では対応が難しい側面があり、成人先天性心疾患治療は九州大学病院の使命の一つであると考えています。

また、成人チームと協力し先天性心疾患に対する補助人工心臓植込みも行っています。日本国内では先天性心疾患に対する補助人工心臓植込みに対応できる施設は限られていますが、良好な手術成績をおさめています。