九州大学病院 心臓血管外科

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虚血性心疾患・その他

肺動脈血栓症

肺動脈塞栓症は、静脈の中で発生した血栓が心臓へ流れ込み肺へ詰まる病気です。主に下肢や骨盤内の静脈で形成された深部静脈血栓が遊離して静脈内を遊走し、右心房・右心室から駆出されたのちに肺動脈を閉塞することで発生します。肺動脈へ流れる血流が阻害されるため重症の心不全が発生することと、呼吸による換気ができなることが主な症状です。肺塞栓をきたす血栓の量と閉塞される範囲により症状の重症度が決まり、急性肺動脈塞栓症と慢性肺動脈塞栓症に分類されます。

急性肺動脈塞栓症としてもっともよく知られているのは「エコノミークラス症候群」でしょう。海外旅行などで航空機内に長時間、狭いスペースに座り続け、また水分摂取が不足するなどの状況により下肢の静脈血栓が多量に発生することが原因です。その血栓が目的地へ到着し歩行を開始した途端に遊離し肺動脈塞栓症を発症し突然死へいたることもある重篤な病気です。前兆なく突然の呼吸困難や胸痛を伴いショックとなることがあり大変危険な状態になることがあります。点滴治療などが有効でない場合には、私たち心臓外科医により直ちに血栓除去が行われます。胸部を切開して心臓を露出し、人工心肺装置を装着のうえ肺動脈を切開して原因となっている血栓を摘出します。再び肺へスムーズに流れるようになりますので心臓の負担や換気ができるようになります。緊急手術対応が必要になる代表的な病気の一つです。

また、慢性肺動脈塞栓症では、長期間にわたり少しずつ肺動脈に血栓が詰まり続けるため、徐々に心臓機能と肺機能が低下していきます。歩行時の息切れや血痰、心不全などが主な症状です。ワーファリンによる抗凝固療法が無効な重症慢性肺動脈塞栓の場合には手術が必要になります。人工心肺装置を装着しての手術になりますが、肺動脈末端まで深く食い込んでいる血栓を摘出するために、体温を25℃程度まで一気に冷却したのちに全身の血流を一旦停止させて肺血栓を摘出します(長低体温循環停止法)。高度な技術を要する特殊な手術となりますが当院循環器内科とチームを組んで積極的に取り組んでおります。