九州大学病院 心臓血管外科

当科手術の特色

先天性心疾患

小児重症心不全治療

小児ECMO治療

 ECMO(エクモ)とはextracorporeal membrane oxygenationの略であり、体外式膜型人工肺と訳されます。
 遠心ポンプと人工肺からなり体外循環により、心機能と呼吸機能を代替し生命を維持する装置です。ECMO治療は究極の対症療法であり、回復する見込みのある心肺機能不全に対する治療方法です。

小児ECMO治療の適応

・劇症型心筋炎
・心臓手術術後心不全
・重症心不全(拡張型心筋症)
・重症呼吸不全(新生児遷延性肺高血圧、胎便吸引症候群など)
・横隔膜ヘルニア周術期など
 が挙げられます。

  • 図9. 2016年~2021年までの小児ECMO症例数(心疾患以外を含む)を表す棒グラフ

    図9. 小児ECMO症例数(心疾患以外を含む)

当科における小児ECMO治療の特徴

1集学的治療

 小児ECMO治療は、究極の対症療法であるため集学的治療が必要になります。2015年からチーム医療(心臓血管外科医、小児外科医、小児科医、人工心肺技師、看護師等)を積極的に取り入れており、2017年にはECMOセンターを開設しました。

2積極的な治療

 小児ECMO治療においては、末梢カニュレーション(頚部もしくは大腿)によるECMO治療を基本としていますが、症例によっては、セントラルECMO(大動脈送血、右心房脱血)+左心室脱血を行うことにより全身への高流量の補助及び左心室負荷軽減を得ることができ、救命率も向上しています。
 小児ECMO治療が行える施設は限られています。患者さんは福岡市のみでなく、九州内の他県などからも搬送されてきており、日本でも有数の小児ECMOセンターとなっております。

小児心臓移植、補助人工心臓(EXCOR, HVADなど)

2020年5月26日から11歳未満の子供の心臓移植が当院で可能となりました。九州では初めてであり国内では6番目の認定施設となりました。心臓移植や補助人工心臓治療はチーム医療であり、心臓血管外科医、小児科医、内科医、集中治療医、看護師、補助人工心臓コーディネーター、臨床工学技士、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、チャイルド・ライフ・スペシャリストによるチームを組み、万全の体制で医療を行えるようサポート体制を構築しています。2017年に小児用補助人工心臓の実施認定を受けて以来、今回の小児心臓移植実施認定により、当院で診断から心臓移植まで完結できるようになりました。