九州大学病院 心臓血管外科

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当科手術の特色

大血管・大動脈

胸部大動脈瘤に対するステントグラフト治療

胸部大動脈瘤と新しい治療法

大動脈瘤は、心臓から全身に血液を送る大動脈が、動脈硬化などの原因で瘤状に拡大した状態です。胸部大動脈瘤は多くの場合、破裂するまで無症状ですが、一旦破裂すると80%以上の死亡率を誇る恐ろしい病気です。かつてこの病気に対しては、人工心肺装置を用いた人工血管置換術が唯一の治療法でした。治療成績は年々向上していますが、体への負担が大きく、高齢者、心臓や肺、脳などの合併症を持つ方々には手術が行えない場合もあります。心臓血管外科ではそのような方々にも対応すべく、新しい治療法としてステントグラフト手術を積極的に行っております。

身体に負担の少ないステントグラフト手術

ステントグラフト手術とは、人工血管とバネ状の金属とを組み合わせたものを、足の付け根もしくはお腹の動脈から挿入し、レントゲンを見ながら動脈瘤に蓋をする形で留置する方法です。動脈瘤に血圧がかからない状態とし、動脈瘤の拡大や破裂を防ぎます。(図1, 2, 3)。
この方法は、体への負担が少ないことが最大の利点です。ただ、動脈瘤の位置(胸部大動脈には脳に向かう分枝があります)により、どうしても使用困難な方がいらっしゃいます。そのような場合には、頭やくびの血管にバイパスを行ったり、人工血管置換術と組み合わせたりする方法(ハイブリッド手術)で対応しています(図4)。

患者さんの病状や希望に応じた治療法の選択

九州大学病院心臓血管外科では、2008年にこの治療法を開始して以来、多くの患者さんにこの治療を受けていただきましたが、新しい治療法ですので、長期の成績などまだ不明な点があります。当科では、年齢や体力に応じて、また各人の御希望に応じて、安全に治療を行うことを第一に考え、手術方法を選択しております。

腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療

腹部大動脈瘤と新しい治療法

図5. 腹部大動脈瘤Y graft人工血管置換術

図5. 腹部大動脈瘤Y graft人工血管置換術

腹部大動脈瘤も多くの場合、破裂するまでは無症状ですが、一旦破裂すると80%以上の死亡率を誇る恐ろしい病気です。治療には、内科的治療と外科的治療がありますが、内科的治療(血圧を下げる)のみで、破裂を防ぐことは不可能です。外科的治療では、お腹を切開し大動脈の血流を止めて人工血管に置き換える方法(図5)が一般的でしたが、最近では、ステントグラフトで治療することが一般的になってきました。

腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療

両側の鼠径部(股の付け根)を切開し、露出した大腿動脈から、人工血管とバネ状の金属とを組み合わせたもの(ステントグラフト)を挿入し、レントゲンを見ながら動脈瘤に蓋をする形で留置することによって、大動脈瘤の破裂を防ぎます(図6, 7, 8)。腎臓を栄養する腎動脈の位置によっては、この方法が行えない場合があります。

身体に優しい治療

従来の人工血管置換術は、年々成績が向上していますが、開腹に伴う身体への負担が問題になる場合があります。ステントグラフトによる治療は、身体への負担が少なく、特に高齢者、心臓や肺の持病がある方々にメリットが大きい手術です。

動脈瘤を指摘されたら

ステントグラフトチームドクター(左:大石恭久 右:園田拓道)

ステントグラフトチームドクター
(左:大石恭久 右:園田拓道)

風邪は治ったのに声枯れが続く、腹部に拍動性のしこりがあるなどの症状がある場合、胸部もしくは腹部の動脈瘤をお持ちの可能性があります。とくに高血圧や糖尿病、高脂血症、脳梗塞などの動脈硬化性の持病のある方々はリスクが高いです。

動脈瘤を発見するための検査としては、胸部の場合レントゲンやCT検査が、腹部の場合、エコーやCT検査が有用です。

かかりつけの先生にご相談の上、必ず専門医の診察を受けてください。動脈瘤には大きさだけでなく形によって破裂しやすい場合があり、その場合には手術を急ぐ必要があるからです。