九州大学病院 心臓血管外科

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当科手術の特色

心不全外科

内科的治療の限界を超えた重症心不全に対する外科的な治療として、拡大した心臓を縮小させる左室形成術、心臓のポンプとしての機能を肩代わりする補助循環、および、心臓移植があります。九州大学病院は九州で最初の植込型補助人工心臓実施施設であり、九州唯一の心臓移植認定施設で、多くの補助人工心臓を始めとする補助循環を行い、23例の心臓移植を経験しました。小児用補助人工心臓実施施設でもあり,小児症例にも対応しています。

補助人工心臓

補助循環として、大動脈内バルーンパンピング(Intra-aortic Balloon Pumping: IABP)、経皮的心肺補助装置(Percutaneous Cardiopulmonary Support: PCPS)、および、補助人工心臓(ventricular assist device: VAD)があります。IABP とPCPSは補助量、補助期間に限界があります。左心補助,両心補助,呼吸補助と目的に応じてより効果的な補助循環を体外循環装置用遠心ポンプ(図1)と人工肺(ECMO) (図2)を用いることで可能です。九州大学病院ではIABPとPCPSでは救命困難な心原性ショックの症例に対し,積極的に対応しております。

長期安定した循環補助を行うにはVADの適応が必要となります。補助人工心臓は、機能の低下した心臓のポンプ機能の一部もしくは大部分を代行して、全身の循環を維持することを目的とする治療方法です。左心室の補助を行う左心補助人工心臓(left ventricular assist device: LVAD)が主に行われています。

現在,本邦で使用できる補助人工心臓は体外設置型がニプロVAD,Abiomed社のAB5000,植込型左心補助人工心臓 (left ventricular assist device: LVAD) がAbbott社(Thoratec)のHeartMateII(図3),サンメディカル技術研究所のEVAHEART(図4)です。また,小児用のBerlin Heart 社のEXCOR Pediatric(図5)が,小児用補助人工心臓実施施設に限定して使用できます。

九州大学病院では,これまで100例以上の補助人工心臓治療を行っており,そのうち,植込型左心補助人工心臓症例が60例です。年間20症例以上の補助人工心臓装着を行っており,症例数は年々増加しています(図6)。

体外設置型であるニプロ補助人工心臓の場合は、送血、脱血のための太いカニューラが皮膚を貫通し、体外の血液ポンプに連結され、血液ポンプは駆動チューブにより大きな駆動装置につながれるため、退院が困難です。植込型であるHeartMate II(図3)、EVAHEART(図4)の場合は、血液ポンプは体内に植込まれ、血液ポンプに電力を供給するドライブラインが皮膚を貫通します。このドライブラインに接続されるコントローラ、バッテリは小型計量であり、条件が整えば外来通院が可能になります。装着された状態では、お風呂に入ることはできませんが、シャワーを浴びることは可能です。自動車の運転は、社会的に許可されていませんが、介護者等の条件があるものの就労就学も可能です。

HeartMateIIを装着された患者

現在、本邦では植込型補助人工心臓の適応は心臓移植への橋渡し (bridge to transplant: BTT) に限定されていますが、現在、急速な普及をみています。心不全で苦しんでいる患者さん誰でもが補助人工心臓の適応ではありませんが、2013年2月から、心臓移植の適応年齢が60歳未満から65歳未満に引き上げあれ、臨床使用可能な補助人工心臓の種類も増えており、治療の選択肢は徐々に増えつつあります。現在,植込型補助人工心臓適応基準の適正化を目的に長期在宅治療,もしくは,永久植込み治療 (destination therapy: DT) の治験が進行中です。