九州大学病院 心臓血管外科

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当科手術の特色

心不全外科

内科的治療の限界を超えた重症心不全に対する外科的な治療として、拡大した心臓を縮小させる左室形成術、心臓のポンプとしての機能を肩代わりする補助循環、および、心臓移植があります。九州大学病院は九州で最初の植込型補助人工心臓実施施設であり、九州唯一の心臓移植認定施設で、多くの補助人工心臓を始めとする補助循環を行い、16例の心臓移植を経験しました。

補助人工心臓

補助循環として、大動脈内バルーンパンピング(Intra-aortic Balloon Pumping: IABP)、経皮的心肺補助装置(Percutaneous Cardiopulmonary Support: PCPS)、および、補助人工心臓(ventricular assist device: VAD)があります。IABP とPCPSは補助量、補助期間に限界があり、長期安定した循環補助を行うにはVADの適応が必要となります。

図2. EVAHEART

図1. EVAHEART

補助人工心臓は、機能の低下した心臓のポンプ機能の一部もしくは大部分を代行して、全身の循環を維持することを目的とする治療方法です。左心室の補助を行う左心補助人工心臓(left ventricular assist device: LVAD)が主に行われています。世界的には様々な補助人工心臓が臨床使用されていますが、本邦ではつい最近まで旧型のニプロ補助人工心臓しか使用できない状況でした。2011年春に、2機種の植込型左心補助人工心臓であるサンメディカル技術研究所のEVAHEART(図1)とテルモのDuraHeartが保険収載され、ようやく、最新型の左心補助人工心臓の臨床使用が可能となりました。2013年4月から、世界で最も使用されている軸流ポンプであるHeartMate II(図2)が臨床使用可能になりました。2014年、左室心尖部に軸流ポンプを留置するJarvik 2000(図3)が臨床使用可能になりました。
本邦で独自に開発された植込型左心補助人工心臓です。独自のクールシールシステムによる長期耐久性を確保し、最大流量20 L/minの強力な循環補助能力を有します。(図1)

代表的な軸流型の植込型左心補助人工心臓です。最も臨床実績のある左心補助人工心臓で、世界で10,000例以上の実績を有します。(図2)ポンプ本体自体が心室内に植込まれる軸流型の植込型補助人工心臓です。小さな体格の患者にも植込みに有利です。(図3)

体外設置型であるニプロ補助人工心臓の場合は、送血、脱血のための太いカニューラが皮膚を貫通し、体外の血液ポンプに連結され、血液ポンプは駆動チューブにより大きな駆動装置につながれるため、退院が困難です。植込型であるEVAHEART(図1)、DuraHeart、HeartMate II(図2)、Jarvik 2000(図3)の場合は、血液ポンプは体内に植込まれ、血液ポンプに電力を供給するドライブラインが皮膚を貫通します。このドライブラインに接続されるコントローラ、バッテリは小型計量であり、条件が整えば外来通院が可能になります。装着された状態では、お風呂に入ることはできませんが、シャワーを浴びることは可能です。自動車の運転は、社会的に許可されていませんが、介護者等の条件があるものの就労就学も可能です。

現在、本邦では植込型補助人工心臓の適応は心臓移植への橋渡し (bridge to transplant: BTT) に限定されていますが、現在、急速な普及をみています。心不全で苦しんでいる患者さん誰でもが補助人工心臓の適応ではありませんが、2013年2月から、心臓移植の適応年齢が60歳未満から65歳未満に引き上げあれ、臨床使用可能な補助人工心臓の種類も増えており、治療の選択肢は徐々に増えつつあります。