経カテーテル的大動脈弁置換術（TAVI）患者の在院日数短縮に向けた取り組み

臨床研究について

　九州大学病院では、最適な看護を患者さんに提供するため、日々の看護を振り返ると共に患者さんの日常生活動作に合った看護を提供できるように看護研究を行い、研究結果を臨床現場に活かす事が出来るように努めています。その一つとして、九州大学病院心臓血管外科病棟では、現在、経カテーテル的大動脈弁置換術（TAVI）を施行した患者さんを対象として、看護の一環として万歩計を使用した歩数測定を実施し、在院日数の短縮に向けた取り組みを行っています。

　今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、平成35年8月31日までです。

研究の目的や意義について

　TAVIは、体力が弱った人や開心術が出来ない患者さんの大動脈弁狭窄症に対する治療として、低侵襲であり有効とされています。当院では2014年の導入開始から約200例の症例が実施されてきました。低侵襲であり早期退院が期待されますが、現在の平均在院日数は15日となっています。その一因として、手術前後の活動量の低さが関与していると考えられ、手術後に早期離床を図るためにも、患者さんの日常生活動作の現状を把握する必要があると考えました。そこで、患者さんに看護の一環として万歩計を使用した歩数測定を実施し、歩数と在院日数、日常生活動作との関係を分析することで、今後の看護実践、リハビリ介入時期の検討、在院日数の短縮に繋げていきたいと思っています。

研究の対象者について

　九州大学病院心臓外科病棟において平成30年9月1日から平成30年11月30日までに経大腿動脈アプローチと経鎖骨下動脈アプローチを施行した30名の患者さんを対象とします。

　研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。

研究の方法について

　入院日から退院日まで看護の一環として万歩計を装着させて頂き、歩数測定を行います。1日の歩数を記録させて頂き、活動量の指標と致します。1日の目標歩数などは設定しません。動ける範囲、痛みの状況、その日の検査状況などに左右されますが、自由意思に基づいて動いて頂きます。その後、経大腿動脈アプローチと経鎖骨下動脈アプローチを受けた方を対象に、診療録から取得した情報を比較分析させて頂きます。

〔取得する情報〕
年齢、性別、体重、BMI、日常生活動作の状態、手術日、集中治療室退室日、入院日、退院日、万歩計装着により得られた歩数値、理学療法士による手術前後の身体測定の数値

個人情報の取扱いについて

　対象患者さんの取得した情報をこの研究に使用する際には、対象患者さんのお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学病院心臓血管外科医局室内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。

　また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。

　この研究によって取得した情報は、九州大学病院心臓血管外科科長：塩瀬　明の責任の下、厳重な管理を行います。

試料や情報の保管等について

〔情報について〕
　この研究において得られた対象患者さんの情報は、原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、大学院医学研究院循環器外科学分野・教授：塩瀬　明の責任の下、１０年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

　また、この研究で得られた対象患者さんの情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

研究に関する情報や個人情報の開示について

　この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。

　また、ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

研究の実施体制について

この研究は以下の体制で実施します。

相談窓口について

この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。