九州大学病院 心臓血管外科

先輩の声

九州大学病院心臓血管外科で活躍する、先輩達の声をご紹介します。
入局を決めた理由や魅力、やりがいなどを語っていただきました。

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地方医大出身の凡人がどうやったら
這い上がれるか考えたら九州大学で
勝負してみようという結論にたどりついた

竹本 捷

沖縄県 北部地区医師会病院 心臓血管外科 / 竹本 捷
(2015年卒業)

takemoto sho

 初めまして、竹本 捷(タケモト ショウ)と申します。医師8年目で現在は沖縄県の病院に出向しております。
 心臓血管外科医を志したのは高校2年生の時でした。近くの病院で豚の心臓を用いた模擬手術見学の機会があり、わずか2-3 mmの血管をいとも簡単に縫合し人命を救助するという職業に衝撃を受けました。生死の境を彷徨っている患者さんを自分の腕一本で救命し歩いて帰らせることができるという心臓外科に強い憧れを抱いたのでした。

 医学部に入学してからも心臓外科医になりたいという想いは揺らぐことはなく、どこで心臓外科の修練を積むか悩んでいました。私は福岡生まれ北九州育ちで他県の地方医大卒ですが、心臓外科をやるからには最先端で一流の技術を学びたいと考えていました。もちろん出身大学の心臓外科も素晴らしい環境でしたが、症例のバリエーション、使えるデバイス、心臓移植の有無などでどうしても都市部の大学病院と比較し制限があるのは否めませんでした。そこで九州大学に加え、関東地方の心臓外科にも見学に行きました。見学前は学生当時の勝手な印象で、東京や大阪の方が先を行っているのではないかと思っていたのですが、九州大学は全く引けをとっておらず当時から先進的な手術を積極的に行っていることが印象に残りました。初期研修の2年目に現在の教授である塩瀬先生がアメリカから帰国し赴任され、華々しい経歴と業績、そして圧倒的な手術技術を目の当たりにし、自分も九州大学で教育を受けたいという思いを強めました。福岡は衣食住・子どもの教育環境としても人気で人口増加の続く近年注目の都市であり、地元でもある福岡で、日本、世界と戦える心臓外科医になることを夢見て九州大学の門を叩きました。

小児も成人も一流、
国内屈指の症例数
3年目から執刀のチャンスあり、
出身大学も関係なし

 九州大学病院で初期研修を2年行ったのち、福岡こども病院→飯塚病院→九州大学病院→沖縄という流れで、主に国内屈指の施設で修練を積むことができ、「こんな心臓外科医になりたい、自分が患者だったらこの人に切ってもらいたい」と思えるような先生方の指導を受けることができました。急患や重症が立て込んで精神的・身体的に辛いこともありましたが、3年目から開心術の執刀機会もいただくことができたのは本当に驚きました。執刀機会に関してはもちろん個人の習熟度や、それに適したケースがあるかにも左右されますが、それだけ教育・指導環境も充実していると言えます。他大学出身である私が旧帝大医局に入局したら、どんな苦労をするのだろうかと心配したりもしましたがそれは全くの杞憂でした。私は現在8年目ですが、すでに心臓・血管手術の執刀数は50を超えており、最短年次での心臓血管外科専門医の受験資格が得られる見込みです。また、大学病院を中心に海外で先行使用されているデバイスを国内最速で取り入れたり、DaVinci、MICS、大動脈、小児、成人先天性疾患、人工心臓、心臓移植など多くの注目分野で最先端の治療を行っており若手の時からそれらに習熟することができます。小児から成人、基本手技から最先端治療まで幅広く学べるのは他にない魅力です。

医局は悪者なのか?
九大はちがいます!

 近年、若い医師の間で医局離れが叫ばれて久しいですが、主な理由としては「医局の指示で人事異動するのが嫌だ、都市部に住みたいけど田舎に飛ばされるのが嫌だ、大学病院は激務の割に給料が安い、異動を繰り返すことで福利厚生や退職金などが得られない、異動の引越し代が出ない、限界大学院生になりたくない」など、ほぼこのあたりの理由に集約されると思います。逆に言えば、これらの問題をクリアした上でしっかりと指導を受けられる施設をみんな探しています。やりがいや高度医療のアピールだけで心臓外科の人材が集まらないのはもはや常識です。九大の強みの一つは、「都市部の関連病院が多く、それでいて派遣先が多すぎない」ことだと思います。異動に関しては確かに全て希望が通らないこともありますが、毎年必ず教授や医局長とじっくり話す機会があり、自分の希望や家庭環境、子育ての状況、将来の展望をしっかり伝えた上で相談することができます。働き方・給与に関しては、年間症例数500を優に超える忙しい大学病院でも改革は着実に進んできており、若手の当直回数の負担削減、残業代支払いや副収入の確保は抜かりありません。関連病院では全てではないものの引越し代を補助してくれる制度が多くあります。異動を繰り返すことで退職金が少なくなるのは確かにそうですし痛いところなのですが、40年の心臓外科人生を単一の施設だけで一人前の術者になることは現代ではほぼ不可能であり、様々な施設のトップナイフからその極意を学びキャリアアップに繋げることのメリットが勝ります。大学院に関しても環境は充実しており、私も今後大学院に進学する予定です。また、最近は田舎での勤務が極端に嫌われる傾向にありますが、以前は私もそうでした。しかし福岡はどのエリアからでも中心地へのアクセスは比較的良く、デバイスや物資が制限された中での手術を学べたことは貴重な経験でした。また、ハイボリュームセンターばかりで勤務していると肉体的にも相当キツイと思います。時には症例数の少ない施設でじっくりと手術を学び、十分な余暇をとって家族や自分のための時間を確保することも長く外科医を続けるために重要なポイントだと思います。私も沖縄に行くと聞いた時は少々驚きましたが、8年目にして今では毎週のように開心術を執刀させてもらえるポジションとなり、症例数は多くないものの、勉強できる時間も増えて指導医とじっくりディスカッションしながら修練を積むことができています。仕事に疲れたらすぐに美しい海を見て癒されるのも楽しみの一つです。九大にはこのように、個々の希望やライフステージ、働き方に応じた関連病院が揃っており、全国の同世代の外科医から聞く話と比較しても、他の都市部の大学医局にはない環境だと感じています。

九大なら研究留学も
臨床留学もできる!

 九大では留学の可能性も広がります。アメリカの第一線で研究者や指導医としての経験を積まれた塩瀬先生が帰国されたことで、研究留学はもちろん、臨床留学もその実現可能性がグッと高まりました。私も5年目の時にUSMLEの勉強を始め、帰国子女ではないため英語には大変苦労しましたが、日本人にとって最難関であったStep 2 CSから受験しなんとか合格しました。それを皮切りにStep 1、Step 2 CKも合格し、無事にECFMG certificationを取得しました。今後Step 3も受験予定です。別稿の宮城先生の声にもあるように、研究留学にも興味があるため、どこかのタイミングで海外での研究生活も経験できたらと考えています。このように九大では海外進出にも寛容で懐が深く、無限の可能性が広がっています。

結論、九大。

 長くなりましたが、色んな医局や施設と比較した上で、人生2周目があったとしても九大心臓外科を選ぶと思います。指導環境、労働環境、留学のサポート、福岡市という居住環境、全て揃っており隙がなくバランスが取れています。東京、大阪と比較して診療レベルに遜色なく、一流の環境で学ぶことができ、それでいて可処分所得が高い。家族・子どもの生活の質も心配いりません。仕事終わりに食べる福岡のラーメンは別格に美味いです。そんなに上手い話があるもんかと思った方、ぜひお気軽に下記までご連絡ください。個人的にでも相談に乗りますし、聞きにくいご質問にもお答えします。一緒に一流を目指しましょう。

竹本 捷 (タケモト ショウ)
メール:smedmochio@yahoo.co.jp